11.9 日本史の勉強法
更新日 2021年6月19日
日本史は暗記することがたくさんあります。
だからこそただやみくもに暗記するより、問題集の数を絞ってメリハリをつけて覚えていくことが大事になります.
日本史の学習の順番としては以下がオススメです。過去問と一問一答を除くと、3冊(3シリーズ)をベースにします。
先に関関同立/上智MARCH/早慶/旧帝一工(除東大京大)/東大京大の合格者が使用した日本史問題集を紹介します。
この後に紹介する問題集の例は、こちらを元にしています。
難関大合格者も、難しい問題集ばかりではなく、むしろ流れ参考書や標準レベル問題集をしっかりこなしていることが分かると思います。
また主要な問題集について、関関同立/上智MARCH/早慶/旧帝一工(除東大京大)/東大京大ごとに合格者の使用率をまとめました。
最初に教科書、実況中継系参考書などを利用して、日本史の大きな流れをつかみます。
<日本史 流れ問題集 例>
- 詳説日本史B(山川)
- 日本史B講義の実況中継(1)原始~古代(語学春秋社)
- 日本史B講義の実況中継(2)中世~近世(語学春秋社)
- 日本史B講義の実況中継(3)近世~近代(語学春秋社)
- 日本史B講義の実況中継(4)近現代(語学春秋社)
- 金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本 原始・古代史(ナガセ/東進)
- 金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本 中世・近世史(ナガセ/東進)
- 金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本 近現代史(ナガセ/東進)
- 金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本 文化史(ナガセ/東進)
最低でも3回は読みます。
・1回目はさらっとだけ読みます。
・2回目は用語まで気にしながら読みます。
・3回目は注記なども含めて読みます。
そして、その際に「なぜ?」を意識しながら読みます。
・なぜ公家が力を持ったのか?
・なぜ武家が力を持ったのか?
・なぜ都の場所を移したのか?
・なぜその制度を作ったのか?
・なぜその人が出世/失脚した?
なお、カラーペンで線を引くのはあまりおススメはしません。
⇒<8.4 授業のノートをどう取るべきか?カラーペンは意味があるか?>
カラーペンで線を引くのは重要なところだと思いますが、そもそも初見で重要なところを探すのが難しいからです。
「豊臣秀吉」は重要ですが、有名すぎて共通テストなどで「豊臣秀吉」が解答になる問題はほとんど出ません。
するとちょっとマイナーな事項が重要に見えてきてしまいます。そうしていくと結局、全てに線を引く、なんてことになりがちです。
カラーペンで線を引くよりは、鉛筆かシャープペンで情報を書き足すことを強くオススメします。
書き足すのは例えば先生の小話、原因と結果(なぜ?の部分)、自分が疑問に思ったこと、問題集を解いていて自分が間違えたこと、などです。
日本史をただ暗記するのではなく、「なぜ?」を絡めて覚えると2ついいことがあります。
一つ目は、ただ暗記するよりも「なぜ?」を絡めて覚えた方が、忘れにくいということです。
⇒<9.2 単純記憶より体系記憶で効率が上がる>
二つ目に、「なぜ?」を絡めて覚えることが、そのまま論述対策になります。
論述問題の例として、2019年の東大の日本史の問題を見てください。
この問題を見ると「誰が(人名)」「いつ(年号)」よりも、意図や背景など「なぜ?」が重視されています。
東大は少し極端な例ですが、「なぜ?」を絡ませて覚えることが、覚えやすくなるだけではなく論述対策にもなります。
次に標準レベルの網羅的問題集で、必要な知識を漏れなく覚えます。
<日本史 標準レベル網羅問題集 例>
- 教科書よりやさしい日本史ノート(旺文社)
- はじめる日本史 要点&演習(Z会)
- スピードマスター日本史問題集(山川)
結局、問題集を解きながら覚えるのが一番です。
⇒<9.3 問題を解きながら覚えると効率が20%アップ>
教科書を読んでいると覚えることがたくさんあるように思えるかもしれませんが、問題を解きながら覚えることで、自然と問題としてよく出る知識から優先的に覚えることができます。
大事な知識は問題と設定されているので、自分で大事なところを選ぶ必要もないですし、ただ読むよりも「間違えた」という経験が記憶にとっては効果的だからです。
たくさんの問題集をやる派の人もいますが、原則としては1冊は同じ問題集を繰り返してベースをつくることをオススメします。
⇒<8.1 最重要の勉強法!同じ問題集を繰り返す>
その問題集にある問題を全て完璧にして『ベースの1冊』にするような意識でこなします。
1巡目はほとんどの問題ができないと思いますが全く問題ありません。
正解だったら〇をつけ、分からない問題はすぐに解答を見て、答えを書き写します。
2巡目は、1巡目で間違えた問題だけやります。
3巡目は、2巡目で間違えた問題だけやります。
こうして全問題に〇がつくまで繰り返します。
繰り返す内に、〇の問題が増えていくので、覚える内容が自然と少なくなりますし、数学や理科と違って早いサイクルでこなせるので思ったよりも時間が掛からないはずです。
全ての章を片付けたときには、共通テストなどで必要な知識は身に付いているはずです。
なお、時間が経ってから復習するときには、3回間違えた問題 ⇒ 2回間違えた問題 ⇒ 1回間違えた問題、とよく間違えた問題から順番に復習すると、苦手な問題や知識を優先することになり効率的に復習できます。
心配な人はベースの1冊に加えて、もう1冊をやると更に漏れがなくなると思います。
日本史を共通テストのみでしか使わない人は、ここで共通テストの模試演習に取り組みます。
応用問題集/論述問題集に入る前に、志望校の過去問を見て、どのくらいの知識量が必要か、また論述問題が出るかを確認します。
また出題年代に偏りがないか、政治/外交/文化/経済などに偏りがないかなどを確認します。
例えば慶応や早稲田は、学部によっては特定の時代の問題が多く出るといったこともあります。
まず志望校の『問題傾向』と『目指すべきレベル』を把握した上で、必要に応じて以下の問題集などをこなします。
<日本史 応用レベル問題集 例>
- 実力をつける日本史100題(Z会)
- 日本史Bレベル別問題集5 上級編(ナガセ/東進)
- 日本史Bレベル別問題集6 難関編(ナガセ/東進)
<日本史 論述問題集 例>
- 日本史の論点(駿台)
- 日本史〈記述式〉レベル別問題集3上級編(ナガセ/東進)
- 段階式 日本史論述のトレーニング(Z会)
応用レベル問題集は、標準レベル問題集と同じ要領で、全問に〇がつくまで繰り返します。
論述問題集は、2巡程度は繰り返すことをオススメしますが、論述問題は初見で考えることに意味がある(答えを覚えてしまっては意味がない)ので、3巡も4巡もやる必要はないと思います。
もし時間に余裕がある場合は、論述問題集は、3巡以上繰り返すよりも、数をこなすことをオススメします。
ここまでが終わったら志望校の過去問演習に入ります。
難関大に合格した人も、一問一答問題集をこなしている人が多かったです。
知識問題の総復習として、一問一答問題集を1冊だけ選びます。
<日本史 一問一答 例>
- 日本史B一問一答(ナガセ/東進)
- 山川一問一答日本史(山川)
一度に全てを覚えるのではなく、スキマ時間を利用して少しずつ覚えて、何度も繰り返すのをオススメします。
本コラムのまとめ
- まず教科書や実況中継系参考書で、大きな流れを「なぜ?」を交えて覚える。
- 標準レベルの網羅問題集を繰り返して必要な知識を完璧に覚える。
- 志望校の問題レベル/傾向を確認した上で、応用問題集/論述問題集をこなす。
- 一問一答問題集で総復習する。